研究内容

脚支援機器適用に向けた軽量な磁気式波動歯車

下肢麻痺者や高齢者の脚動作をモータで支援する脚支援機器が近年注目されています。本研究室では,脚支援機器の軽量化のために磁気式波動歯車を開発しています。磁気式波動歯車は,機械式波動歯車(ハーモニックドライブ)のベアリングと楕円カムを軽量な磁石に置き換えた構成となっています。磁力で弾性体を変形させることで,機械式波動歯車と同等の高ギア比を達成しました。
論文:磁気式波動歯車装置の動作特性解析

 

全置換人工心臓適用に向けたシャフト状のMR流体変速機

心疾患患者の両心の代替となる全置換人工心臓の研究開発が進められています。全置換型人工心臓では生体内の血液量のバランスを調整するために左心用ポンプと右心用ポンプの流量を独立に調整することが求められます。本研究室では,1つのモータで2つのポンプを独立に動かすための小型変速機の研究開発を行っています。磁気粘性流体(MR流体)を用いており,Φ20mm程度の円柱シャフトで,人工心臓に必要な減速比0.9~1を達成しました。本研究は茨城大学 増澤徹教授・長真啓准教授との共同研究です。
論文:人工心臓のためのMR流体トルク伝達機構

 

リニア振動アクチュエータとその制御

デバイス多機能化のニーズに応えるため、以下の独立に駆動する可動部を2つ持つリニア振動アクチュエータとそのセンシング・制御技術の研究を行っています。
①共振周波数の異なる2つの可動部を持つアクチュエータ:2つの共振を利用することで、駆動周波数の広域化を達成します。
②駆動方向の異なる2つの可動部を持つアクチュエータ:並進2自由度の独立振動を生成することで,二自由度振動で生成します。
③2つの可動子の加速度をセンサレスで取得し,2自由度制御により各可動子の加速度を制御します。
新技術説明会資料:2つの可動体を独立に動かすリニア振動アクチュエータ

 

歩行振動をエネルギー源としたエネルギーハーヴェスタ

IoT用装着電源として,以下の歩行振動をエネルギー源とした振動発電デバイスを開発しています。
①脚動作をエネルギー源とした装着用振動発電装置:本デバイスは主に可動磁石とコイルから構成されています。歩行脚にデバイスを取り付けて取り付けて可動磁石を揺らすことで、電磁誘導により電気エネルギーを生成します。小型化・発電性能向上のために磁束を集中させる磁石配置を採用しています。
②床への踏み込みをエネルギー源とした設置型振動発電装置:本デバイスは磁気式回転直動変換器とDCブラシモータから構成されています。踏み込み時に床に与える推力を磁気式直動回転変換器によって非接触で一方向の回転力に変換し、DCブラシモータによってその回転を電気エネルギーに変換します。
論文:磁束集中型振動発電装置を用いた歩行発電